津波避難と地域防災力を考える
- 山内七恵
- 4月17日
- 読了時間: 5分
昨年7月と12月、久慈市では津波注意報・警報の発表に伴い、市内の複数箇所で自動車避難による渋滞が発生しました。この渋滞は「津波浸水想定区域からの逃げ遅れを招く恐れがある」深刻な問題です。
今回の一般質問では、
①津波避難時の自動車渋滞の要因と対策
②自主防災組織・防災士の活動実態と市の支援策
について市の考えを質しました。

① 津波避難時の自動車渋滞 ― 何が起きているのか
市が挙げた主な課題は次のとおりです。
徒歩避難が原則であるにもかかわらず、自動車避難を選択する住民が多いこと
高台の近場の避難所に車が集中し、駐車場に入りきらない車が道路上で滞留すること
その結果、浸水想定区域内で逃げ遅れが発生する危険が高まること
久慈市は地形的に高台が限られ、道路幅も狭い場所が多いため、避難が集中すると渋滞が起きやすい構造になっています。
■ 市が進めている対策
市は現在、次のような取り組みを進めています。
より遠方の安全な地区への避難を呼びかけ、避難先の分散を図る
渋滞が起きやすい避難場所では、消防団が駐車場誘導を実施
広報・SNS・講演会などで自動車避難の考え方を周知
渋滞発生箇所での車両誘導訓練を強化
これらは重要な取り組みですが、今後さらに必要なのは、 「誰が」「どこへ」「どの手段で」避難するのかを地域ごとに具体化することではないでしょうか。
■ 今後求められる視点
高齢者・要配慮者の自動車避難は不可欠であり、 自動車避難を前提としたルールづくりが必要
近場の避難所に集中しないよう、 遠方避難のモデルルートを示す
渋滞が起きやすい地点を分析し、 地域版の避難行動マップとして共有
消防団だけに負担をかけないため、 地域住民による交通誘導支援の仕組みも検討すべき
津波避難は「数分の差が命を左右する」ものです。 徒歩避難を基本としつつ、どうしても車が必要な人を安全に逃がすための仕組みづくりが欠かせません。
② 自主防災組織・防災士の現状と課題
市内では現在、
自主防災組織:70団体(結成率80.1%)
防災士:約250名 と、数字だけ見れば着実に増えています。
しかし、市も認めているように、 「何をしてよいか分からない」「活動が形骸化している」 という声があるのも事実です。
■ 市が認識する課題
活発に活動する組織がある一方で、 活動内容が定まらず動けていない組織もある
地域の実情に合わせた活動支援が必要
■ 市の支援策
年間を通じた講習会の開催
避難訓練での役割付与(受付・誘導など)
自主防災組織や防災士と課題を共有し、研修機会を増やす
■ 地域防災力を高めるために必要なこと
自主防災組織や防災士は、災害時の「地域の即応力」を支える存在です。 しかし、役割が曖昧なままでは力を発揮できません。
必要なのは、 「地域ごとに何を担うのか」を明確にすることでが重要と考えます。
例えば、
安否確認
避難所の鍵開け
高齢者の避難支援
情報伝達
初期消火
避難所運営の補助
こうした役割を地域で話し合い、 「うちの地区はこれをやる」 という合意形成ができれば、活動は一気に実効性を持ちます。
市には、
役割メニューの提示
活動事例の共有
訓練の伴走支援 など、より実践的なサポートが求められると考えます。
津波避難の渋滞問題も、自主防災組織の課題も、共通しているのは 「地域の実情に合わせた、現実的な防災」 が必要だということです。
行政だけでも、地域だけでも解決できません。 市民一人ひとりが「自分はどう避難するのか」「地域で何ができるのか」を考え、 行政はその背中を押す仕組みを整える。 その積み重ねが、災害から命を守る力につながりますよね。
市の答弁はこちらになります
↓
津波警報発生時の自動車避難による渋滞についての課題と、渋滞回避策の検討状況についてでありますが、昨年7月及び12月の津波注意報、警報発表時において市内複数箇所で自動車避難による渋滞が発生したところであり、それにより、津波浸水想定区域内からの逃げ遅れが発生する恐れがある状況となったところであります。
課題といたしましては、避難に当たっては原則徒歩とはしているものの、自動車による避難を選択する方が多くいること、また、高台の近場の避難所に自動車避難者も集中することから、避難先となる駐車場に入りきらない車両が道路上で待機していることなどが挙げられたところであります。
そのため、現在、渋滞回避策として、自動車避難先の集中を緩和すべく、津波浸水想定区域からより離れた安全な地区への避難を市民に対して呼びかけるとともに、渋滞が発生しやすい避難場所におきましては、消防団などにより、駐車場内及び他の駐車場への交通誘導を行うなどの取組を始めているところであります。
今後におきましても、津波からの自動車避難の考え方について、広報やSNS、防災講演など様々な機会に情報発信を行うとともに、渋滞発生箇所におきましては、消防団等の的確な車両誘導を行うべく訓練を積むなど、全ての住民の速やかで確実な避難を目指し、鋭意取り組んでまいります。
次に、自主防災組織や防災士の組織運営における課題についてでありますが、本年2月1日現在、自主防災組織は70団体を認定し、結成率は80.1%となっており、また、防災士は市内で約250名が登録されております。
組織運営の課題といたしましては、主体的に防災訓練や講習会などの活動を行っている自主防災組織や防災士がいる一方で、どのような活動をしてよいか分からないという組織や個人がいることも認識していることから、地域の実情に合った活動を支援できるよう、市といたしても伴走型で取組を進めていく必要があると捉えております。
また、地域防災力を高めるための支援強化策についてでありますが、年間を通じて自主防災組織及び防災士などに向けた講習会を行うとともに、避難訓練の場において準備から避難者受入れまで実際に関わっていただくなど、具体的な役割を持ってのより実践的な訓練の実施に努めており、今後におきましても、自主防災組織や防災士と課題感を共有しながら、研修や訓練の機会を多く作り、それぞれの活動に資する事業実施に努めてまいります。





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